墓じまいのトラブルを避けるには?具体例ごとに解決方法を解説
「墓じまい」を終活の一環として検討する人が増えていますが、実際に進めようとすると、「親族と揉めた」「菩提寺とトラブルになった」といった声も少なくありません。
本記事では、そんな墓じまいで起こりやすいトラブルについて、具体例とともに解決策もご紹介していきます。
墓じまいとは?

墓じまいとは、現在あるお墓を撤去し、使用していた墓地を管理者に返還する手続きを指します。
基本的には、墓じまい後に納められていた遺骨を別の場所へ移す「改葬」とセットで行います。
後継者がいない、管理の負担が大きい、遠方でお参りが難しいなどの理由から、終活の一環として墓じまいを選ぶ方が年々増えています。
一般的な進め方としては、まず家族や親族の同意を得たうえで、菩提寺や霊園の管理者へ墓じまいの意思を伝えます。
その後、自治体で改葬許可の手続きを行い、僧侶による閉眼供養を経て遺骨を取り出し、石材店に依頼して墓石を撤去・更地に戻すという流れが一般的です。
ただし、寺院との関係性や地域の風習によって必要な書類や手順が異なる場合もあるため、事前に確認しておくようにしましょう。
具体的な進め方や注意点については、以下のコラムで詳しくご紹介しています。
関連コラム:墓じまいのやり方は?必要な手続きを7つのステップで解説!
墓じまいでよくある親族間のトラブルと解決方法

墓じまいでは、先祖代々のお墓を撤去することになるため、トラブルが発生する場合があります。まずは親族間で多いトラブルを見ていきましょう。
話し合い不足によるトラブル
親族間のトラブルの多くは、話し合い不足が原因です。
「遠方に住む家族には伝えていなかった」「反対されると思って黙って進めてしまった」など、十分な話し合いを行わずに墓じまいを決定してしまうことで、後に「聞いていない」「勝手に決められた」といった不満が生じてしまいます。
解決策
情報共有を徹底することが何より重要です。
まずは全員が集まれる場を設け、墓じまいを検討する理由や背景を丁寧に説明しましょう。
費用負担や改葬先、法要の有無といった重要な項目は、口頭だけでなく文書やメモにまとめて共有しておくと誤解を防ぐことができます。
また、どうしても意見がまとまらない場合には、遺骨を分けてそれぞれ供養する「分骨」の方法を検討するのも一つの選択肢です。
金銭面でのトラブル
墓じまいでは、費用の分担をめぐるトラブルも少なくありません。
墓石の撤去費用、改葬の手続きにかかる費用、僧侶へのお布施など、想定以上の出費がかかることもあります。
誰がどの費用を負担するかを決めていないまま進めてしまうと、不公平感が生じやすくなります。
解決策
事前に見積もりを共有し、分担方法を話し合うことです。
石材店や霊園から見積もりを取り、全体の金額を明確にしておくことで、親族間でのトラブルを防ぐことができます。
支払額は人数や立場に応じて調整するほか、特定の人に負担が集中しないよう配慮が必要です。
改葬先に関するトラブル
「先祖代々のお墓を移すことに抵抗がある」「新しい納骨先に納得できない」といった、改葬先の選定をめぐる意見の食い違いもよく見られます。
樹木葬や納骨堂といった新しい供養方法に対して、世代間で価値観の違いが生じることもあります。
解決策
複数の候補を提示し、メリット・デメリットも踏まえて家族で比較検討することです。
費用・アクセス・管理体制・宗旨宗派の制限などの条件を整理し、家族全員が納得できる形で選ぶことが大切でしょう。
可能であれば現地見学を行い、環境や雰囲気を実際に確認するのもおすすめです。
閉眼供養に関するトラブル
墓じまいの際に行う「閉眼供養」についても、「必要ない」「やり方がわからない」などの理由で意見が割れるケースがあります。
宗旨宗派や地域によって儀式の形式が異なるため、判断が難しいことも少なくありません。
解決策
まず菩提寺に相談することをおすすめします。
閉眼供養の有無や進め方は、宗旨宗派・地域の慣習によって異なるため、お世話になってきたお寺に相談し、適切な方法を確認しましょう。
墓じまいでよくある菩提寺とのトラブルと解決方法

続いては、菩提寺との間で起きやすいトラブルとその対処法をご紹介します。
離檀料に関するトラブル
墓じまいで特に多いのが、離檀料をめぐるトラブルです。
離檀料とは、檀家を離れる際に、これまでの供養や管理への感謝を込めてお寺に渡す「お布施」にあたります。
しかし、明確な相場が定められていないため、「思っていたより高額だった」「金額の根拠がわからない」といった不満を感じる方も少なくありません。
解決策
離檀料は法律上の義務ではないため、金額に納得できない場合は、話し合いの場を設けましょう。
例えば「予算の都合で難しい」「ほかの供養方法も検討している」など、納得できない理由を丁寧に伝えることで理解を得やすくなります。
どうしても解決しない場合は、お寺の総本山や宗務所、自治体の相談窓口などに相談すると良いでしょう。
相談を怠ったことによるトラブル
墓じまいをお寺に無断で進めてしまうことも、よくあるトラブルの原因です。
菩提寺にとってお墓の管理や供養は大切な役割であり、突然「撤去することになりました」と一方的に伝えると、不信感を持たれてしまうことがあります。
解決策
墓じまいを検討し始めた段階で、できるだけ早めにお寺へ相談するのが理想です。
「遠方で管理が難しくなった」「子どもたちに負担をかけたくない」など、率直な理由を伝えれば、お寺側も理解を示してくれることが多いです。
業者選定に関するトラブル
お寺によっては、墓じまいの際に特定の石材店を利用するよう指定されることがあります。
ところが、その業者の費用が高額だったり、対応に納得がいかなかったりする場合もあります。
「別の業者に依頼したい」と申し出ても断られるケースでは、トラブルに発展することもあります。
解決策
まずは、他社の見積もりを複数取り、価格や作業内容を比較します。
そのうえで、「こちらの方が費用を抑えられる」「作業内容が明確で安心できる」など、具体的な理由を添えて丁寧に交渉してみましょう。
墓じまいでよくある石材店とのトラブルと解決方法
墓じまいを行う際には、墓石を撤去し、土地を更地にしてお寺や霊園へ返還する必要があります。
この作業は基本的に石材店に依頼することになりますが、そこでトラブルが発生する場合もあります。
墓石撤去料に関するトラブル
墓じまいで最も多いのが、撤去費用に関するトラブルです。
重機の使用や墓石の大きさ、立地条件によっては、当初の見積もりよりも費用が大幅に上がることがあります。
解決策
契約前に、「撤去費用」「運搬費」「処分費」「整地費用」など作業項目を細かく分けた見積もりをもらいましょう。
また、追加費用が発生する条件を事前に確認し、文書で残しておくことで、後のトラブルを防ぐことができます。
工事に関するトラブル
もう一つ多いのが、工事後の対応に関するトラブルです。
「撤去後の墓地が汚れていた」「隣の区画を傷つけられた」など、施工後に問題が発覚することがあります。
解決策
工事の前後で必ず写真を撮影し、状態を記録しておきましょう。
もしトラブルが発生しても、写真があれば冷静に事実を示して話し合うことができます。
墓じまいを円滑に進めるポイント
墓じまいをスムーズに進めるためには、親族・菩提寺・石材店の三者と協力しながら、計画的に進めることが重要です。感情的なすれ違いや認識のズレを防ぐためにも、丁寧な意思疎通とこまめな確認を心がけましょう。
早めの情報共有
墓じまいを検討し始めた段階で、まずは親族全員へ意向を伝えましょう。
「どのような理由で墓じまいを考えているのか」「改葬先の候補はどこか」といった具体的な情報を伝えることで、誤解や不信感を防ぐことができます。
また、菩提寺にも早めに相談しておくことで、離檀や閉眼供養などの手続きに必要な準備をスムーズに進められます。
早い段階から関係者全員が同じ認識を持つことが、トラブルを未然に防ぐ第一歩です。
感謝の気持ちを持って接する
墓じまいは、これまで先祖を供養してきたお寺や家族との関係を見つめ直す機会でもあります。
特に菩提寺に対しては、長年の供養や管理に対する感謝の気持ちをしっかりと伝えることが大切です。
誠実な態度で向き合うことで、お寺との信頼関係を損なうことなく、円満に手続きを進められる可能性が高まります。
感謝の言葉を添えるだけでも、相手の受け取り方は大きく変わります。
トラブルが発生した場合の相談先を確認しておく
話し合いでの解決が難しい場合は、第三者の力を借りることも検討しましょう。
例えば、費用や契約をめぐるトラブルは消費者生活センター、宗教的な問題であれば自治体の相談窓口や宗務所に相談できます。
第三者を交えることで感情的な対立を避け、公平で冷静な解決につなげやすくなります。
まとめ
本記事では、墓じまいで起こりやすいトラブルについて、具体例とともに解決策もご紹介しました。
墓じまいは、終活の中でも特に慎重に進めたい大切なステップです。
親族や菩提寺とのトラブルを防ぐには、早めの相談と丁寧な話し合いが欠かせません。
静岡県にある「はなうたガーデン-伊東-」では、自然豊かな環境の中で、心穏やかに墓じまい後の供養を続けることができます。
改葬先をお探しの場合はお気軽にお問い合わせください。
